完全なる骨癒合を営み使用に堪えうる迄の時日各々場合により一様ではありません。
即ち
(イ) 骨の太さ、小骨の治癒は速やかにして大骨の治癒は緩慢である。
(ロ) 皮下骨折治癒は開放性に比し速やかである。
(ハ) 骨折型中単発骨折は多発骨折(破砕骨折)に比して治癒が速い。
(ニ) 骨折端の移動の程度によりて異なる。
(ホ) 伝染の有無は骨折治癒に大なる関係がある。
(ヘ) 年齢、小児は治癒速やかで老人は遅い。
(ト) 栄養佳良なるものは速く治り不良なるものは遅い。
(チ) 全身性疾患、重症結核、微毒、糖尿病、妊娠、体質異常等に於いては治癒が緩慢である。
(リ) 治癒の適否も大いに治癒日数に関係がある。
◎統計に依る単純皮下骨折の癒合日数(資料)
指趾骨(ユビノホネ) 二週間
掌骨、肋骨(テノヒラ、アバラ) 三週間
鎖骨 四週間 前腕骨 五週間
上腕骨 六週間 脛骨 七週間
下腿両骨 八週間 大腿骨 十週間
前述の日数は最も好経過をの場合を示すものにして統計以上の日数を要することは少なくありません。
尚、完全に機能を回す復す(回復)迄には前述の日数の二、三倍を要するを普通とします。
【参考文献】
接骨術 手當中ノ御注意:時田 善 (祖父)